運動をするとき、「もっと追い込んだ方がいいのか」「これくらいのペースでいいのか」と迷ってしまうことはないでしょうか。運動の強さを心拍数の目安で考える「目標心拍数」という考え方を知っておくと、自分の体力や目的に合った運動強度を判断しやすくなります。この記事では、目標心拍数の基本的な考え方と、カルボーネン法という計算方法について解説します。
1. 目標心拍数とは
目標心拍数とは、運動をする際に「このくらいの心拍数を目安にすると、目的に合った強さで運動できる」という基準のことです。心拍数は運動強度に応じて上がっていくため、心拍数を一つの指標として運動の強さを管理する考え方が広く一般的に使われています。
2. 最大心拍数の簡易的な求め方
目標心拍数を計算するうえで土台となるのが「最大心拍数」という数値です。最大心拍数を直接測定するには専門的な検査が必要ですが、簡易的な目安として「220−年齢」という式が一般的によく使われています。
例えば30歳であれば、220−30=190が最大心拍数の目安となります。ただし、この式はあくまで簡易的な目安であり、実際の最大心拍数には個人差があるため、必ずしも全員に正確に当てはまるわけではない点に注意してください。
3. カルボーネン法の考え方
目標心拍数を求める方法の一つに「カルボーネン法」があります。カルボーネン法では、最大心拍数と安静時心拍数(じっとしているときの心拍数)の差を「心拍予備量」と呼び、これに目指す運動強度(%)を掛けた上で、安静時心拍数を足すことで目標心拍数を算出します。
式で表すと、「目標心拍数 = (最大心拍数-安静時心拍数) × 運動強度(%) + 安静時心拍数」となります。最大心拍数だけを基準にする方法に比べて、普段の体力レベル(安静時心拍数)も反映されるため、個人差を考慮しやすい方法とされています。
4. 運動強度別のゾーンの目安
運動強度(%)の設定によって、目標心拍数のゾーンはいくつかに区分されることが一般的に知られています。目的に応じて、目指すゾーンを選ぶ考え方が広く使われています。
| ゾーン | 運動強度の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 低強度ゾーン | 50〜60%程度 | ウォーミングアップや回復に向く、楽に感じる強度 |
| 脂肪燃焼ゾーン | 60〜70%程度 | 脂肪をエネルギーとして使いやすいとされる強度 |
| 有酸素運動ゾーン | 70〜80%程度 | 心肺機能の向上を目的とした運動に向く強度 |
| 高強度ゾーン | 80〜90%程度 | 競技志向のトレーニングなどで使われる強度 |
5. 運動初心者・持病がある人は低めのゾーンから
運動を始めたばかりの人や、しばらく運動をしていなかった人は、最初から高強度のゾーンを目指すのではなく、低強度・脂肪燃焼ゾーンといった低めのゾーンから始めることが一般的に推奨されています。体に過度な負担をかけずに、徐々に運動強度を上げていくことが、無理なく運動習慣を継続するためのポイントとされています。
- •運動経験が少ない場合は、50〜60%程度の低強度ゾーンから始めるのが一般的な目安
- •心拍数が想定より速く上がる場合は、ペースを落とすなど無理をしない
- •体調がすぐれないときは、目標心拍数にかかわらず運動を控える
6. 心臓に持病がある場合は医師に相談を
ここで紹介した目標心拍数の考え方は、一般的な健康増進・運動習慣づくりを目的とした目安です。心臓や血圧に持病がある方、運動中に胸の痛みや強い息切れなどの症状が出た経験がある方は、自己判断で目標心拍数を設定して運動するのではなく、運動を始める前に医師に相談することをおすすめします。
7. スマートウォッチの心拍数測定の精度について
最近ではスマートウォッチやフィットネストラッカーで簡単に心拍数を確認できるようになりましたが、これらの多くは手首の光学センサーで脈拍を検出する仕組みのため、運動の種類や装着の仕方によって、実際の心拍数とのずれが生じることがあります。特に激しい動きを伴う運動や、手首の動きが大きいスポーツでは誤差が出やすいとされています。
より正確な心拍数を把握したい場合は、胸部に装着するタイプの心拍センサーの方が精度が高いといわれています。日常的な運動の目安として使う程度であれば、スマートウォッチの数値でも十分参考になりますが、厳密なトレーニング管理を行いたい場合は測定方法の特性も理解しておくとよいでしょう。
8. 安静時心拍数を測るタイミング
カルボーネン法を使うには安静時心拍数の把握が欠かせませんが、この数値は測るタイミングによってばらつきが出やすいものです。最も安定した値が得られるとされるのは、朝起きてすぐ、布団の中でまだ体を動かす前のタイミングです。日中に測ると、直前の活動や気温、精神的な緊張などの影響を受けやすく、実際より高めの数値になりがちです。数日にわたって朝の安静時心拍数を測り、その平均値を使うことで、より安定した目標心拍数の計算につながります。
なお、安静時心拍数は運動習慣の継続によって徐々に下がっていく傾向があるといわれています。数値が下がってきたら、それに合わせて目標心拍数も再計算し、その時々の体力に合った運動強度を保つことが望ましいとされています。
まとめ
目標心拍数は、最大心拍数の簡易的な目安(220−年齢)をもとに、カルボーネン法で安静時心拍数も加味して算出する考え方が広く使われています。安静時心拍数は朝起きてすぐに測るのが安定しやすいとされています。運動強度別のゾーンを参考に、自分の目的や体力レベルに合った強度を選び、初心者や持病がある人は低めのゾーンから始めることが大切です。心臓に持病がある場合や不安がある場合は医師に相談しましょう。自分の目標心拍数を計算したい方は、目標心拍数計算ツールを使ってみてください。