子どもの体格を評価するときはBMIをそのまま大人と同じように使うのではなく、「肥満度」や「ローレル指数」など子ども向けの指標が使われます。この記事では、学校や小児科で実際に使われている子どもの肥満判定の方法をわかりやすく解説します。
1. 子どものBMIは大人と基準が違う
BMI(体重÷身長の2乗)の計算式自体は大人と全く同じですが、子どもは成長段階にあるため「BMI25以上が肥満」といった大人向けの基準をそのまま当てはめることはできません。子どもの体格は年齢・性別によって大きく変化するため、成長曲線や年齢別の基準値と比較する方法が用いられます。
2. 学校で使われる「肥満度」の計算方法
日本の学校健診では「肥満度」という指標が広く使われています。
肥満度(%)=(実測体重 − 標準体重)÷ 標準体重 × 100
「標準体重」は年齢・性別・身長ごとに文部科学省が定めた参照値です。判定基準はおおむね以下の通りです。
| 肥満度 | 判定 |
|---|---|
| +20%以上 | 肥満傾向(要注意) |
| +10〜19% | やや肥満傾向 |
| -10〜+9% | 標準範囲 |
| -20〜-11% | やせ傾向 |
| -20%以下 | 高度やせ傾向 |
3. ローレル指数とは
ローレル指数は主に学童(小学生〜中学生)を対象とした体格指数として使われます。
ローレル指数=体重(kg)÷身長(m)³ × 10
| ローレル指数 | 判定 |
|---|---|
| 100未満 | やせすぎ |
| 100〜115 | やせ気味 |
| 115〜145 | 普通 |
| 145〜160 | 太り気味 |
| 160以上 | 太りすぎ |
ただし、ローレル指数は身長が低い子どもほど値が大きくなりやすいという特性があり、近年の学校健診では肥満度の方がより広く使われる傾向にあります。
4. 成長曲線(パーセンタイル曲線)の見方
小児科の診察や母子手帳に掲載されている成長曲線(パーセンタイル曲線)は、同年齢・同性別の子ども100人中何番目の体格かを示したものです。おおむね3から97パーセンタイルの範囲内が標準とされています。
単独の数値だけを見るより、成長の傾きを継続的に追うことが重要です。急に曲線が上や下に大きくずれてきた場合は、かかりつけの小児科などでの受診を検討してください。
5. 思春期は体格変化が大きく個人差も大きい
思春期は成長スパート(急激な身長・体重の増加)が起こる時期で、その開始年齢は女子の方が男子より早い傾向があります(女子は10〜11歳頃、男子は12〜13歳頃から始まることが多い)。この時期は体重が一時的に身長の伸びを上回って増えることがあり、一時的に肥満度が高めに出ても、身長の伸びとともに均衡が取れていくことがあります。単発の数値で判断せず、成長曲線で経過を追うことが特に重要な時期です。
6. 子どもの肥満と生活習慣
子どもの肥満の大部分(資料によっては約95%)は「単純性肥満」(食べすぎや運動不足など、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで生じるもの)とされています。ただし、一部は甲状腺機能低下症・クッシング症候群などの内分泌疾患や、遺伝性疾患、薬剤の影響などが原因の「症候性肥満(二次性肥満)」のこともあります。症候性肥満では身長の伸びが悪くなるのが特徴とされているため、急激な体重増加や身長が伸びないといった場合は医療機関を受診してください。
子どもの肥満は成人になってからの肥満に引き継がれやすいため、早期の食習慣・運動習慣の改善が重要です。ただし、成長期の過度なカロリー制限は身長の発育に影響を与えるため、極端な食事制限はすべきではありません。
7. 家庭でできる子どもの体格管理
子どもの体格を家庭で継続的に把握するには、母子手帳や学校健診の記録を活用し、体重・身長を定期的に記録しておくことが基本になります。同じ時間帯・同じ服装に近い条件で測定すると、日々の変動に振り回されず、数ヶ月単位のトレンドが見えやすくなります。単純に「痩せさせよう」とカロリーを制限するのではなく、まずは食事の内容(野菜・タンパク質・炭水化物のバランス)や、外遊び・スポーツなど体を動かす時間が十分に確保できているかを見直すことが優先されます。
テレビやスマートフォン、ゲームなどの画面を見る時間(スクリーンタイム)が長くなるほど、座ったまま過ごす時間が増え、間食の機会も増えやすいことが知られています。家族全体で食事の時間や内容を整える、就寝時間を一定に保って十分な睡眠を確保するといった生活リズムの改善は、子ども本人に大きな負担をかけずに取り組める対策として有効です。無理な食事制限をさせるのではなく、家庭全体の生活習慣を少しずつ整えていく視点が大切です。
8. やせすぎが気になる場合の注意点
近年は肥満だけでなく、思春期のやせすぎも問題視されています。特に思春期の女子では、周囲の体型を気にして極端な食事制限を行い、成長に必要な栄養が不足してしまうケースが見られます。成長期に必要なエネルギーや栄養素が不足すると、身長の伸びが妨げられるだけでなく、女子では将来の月経周期や骨の健康にも影響が及ぶ可能性があるとされています。肥満度がやせ傾向・高度やせ傾向に当てはまる場合や、急激に体重が減っている場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに小児科などの医療機関に相談することをおすすめします。
まとめ
子どもの体格評価では、大人のBMI基準ではなく「肥満度」(学校健診)や「ローレル指数」、「成長曲線(パーセンタイル)」が使われます。一時点の数値だけでなく、成長の推移を継続的に見ることが大切です。肥満・やせのどちらの傾向であっても、極端な対応は避け、家庭での生活習慣の見直しや専門家への相談を優先してください。大人のBMIの正常範囲についてはBMIの正常範囲で解説しています。BMI計算はBMI計算ツールでどうぞ。