「90分の倍数で寝ると目覚めがいい」という話を聞いて、就寝時刻や起床時刻を計算したことがある方も多いのではないでしょうか。この「90分」という数字には、睡眠の仕組みに基づいた一般的な理由がありますが、誰にでも当てはまる絶対的な法則というわけではありません。この記事では、睡眠サイクルの基本的な仕組みと、就寝・起床時刻を考える際の目安について整理します。
1. 睡眠サイクルの基本的な仕組み
睡眠は、ひと続きの同じ状態が続いているわけではなく、深い睡眠である「ノンレム睡眠」と、夢を見やすく比較的浅い睡眠である「レム睡眠」を交互に繰り返しながら進んでいきます。この、ノンレム睡眠とレム睡眠が一巡する一つの単位のことを「睡眠サイクル」と呼びます。
一晩の睡眠の中では、この睡眠サイクルが複数回繰り返されており、サイクルが進むにつれて深いノンレム睡眠の割合が減り、レム睡眠の割合が増えていく傾向があるといわれています。
2. 1サイクルはおおよそ90分とされている
この睡眠サイクル1回分の長さは、一般的に「おおよそ90分程度」とされています。この90分という数字をもとに、何時間眠るとサイクルの区切りが良くなるかを逆算する考え方が広く知られています。
3. サイクルの切れ目で起きると目覚めやすいといわれる理由
睡眠サイクルの中で、レム睡眠など浅い睡眠のタイミングは、ノンレム睡眠の深い睡眠状態に比べて、脳や体が覚醒に近い状態にあるといわれています。そのため、深い睡眠の真っ最中に無理やり起きるよりも、サイクルの切れ目である浅い睡眠のタイミングで起きる方が、すっきりと目覚めやすいと一般的に言われています。
この考え方を利用して、起床したい時刻から逆算し、「サイクルの数(90分の倍数)」だけ前の時刻に近いタイミングで眠りにつくことを目指す、という方法が知られています。
4. 就寝時刻を逆算する考え方
就寝時刻を逆算する場合、基本的には「起床したい時刻」から「サイクル数×90分」をさかのぼった時刻が、サイクルの区切りに近いタイミングになります。さらに、布団に入ってから実際に眠りに落ちるまでには一般的に数分から十数分程度の時間がかかるとされているため、その入眠までの時間も加味して、少し早めに就寝することが目安として考えられます。
- •起床時刻から逆算して、90分の倍数だけ前の時刻を就寝の目安にする
- •布団に入ってから眠りに落ちるまでの時間(個人差があるが数分〜十数分程度とされる)も考慮する
- •サイクル数を増やしすぎて極端に就寝時刻が早まる・遅まる場合は、無理のない範囲で調整する
5. 90分はあくまで目安であり個人差がある
ここで重要な注意点として、「1サイクル90分」という数値はあくまで一般的に知られている目安であり、すべての人に当てはまる固定の値ではありません。実際の睡眠サイクルの長さには個人差があり、同じ人でもその日の体調や疲労度によって変動することが知られています。90分の倍数で計算した時刻通りに起きても必ずすっきり目覚められるとは限らない、という前提で活用することが大切です。
6. 睡眠の質を上げるための基本的な生活習慣
就寝・起床時刻の計算だけでなく、日々の生活習慣も睡眠の質に影響するといわれています。一般的に知られている工夫として、就寝前のスマートフォンの使用やカフェイン摂取を控えること、毎日できるだけ同じくらいの時刻に起床して体内時計を整えることなどが挙げられます。
睡眠時間や寝つきに関する悩みが長期間続く場合や、日中の強い眠気・体調不良が続く場合は、生活習慣の工夫だけで解決しようとせず、医療機関に相談することも検討してください。
7. レム睡眠が記憶や学習に関わるといわれる理由
レム睡眠は夢を見やすい浅い睡眠であると同時に、記憶の整理や定着に関わっているとされています。日中に学んだ情報や経験が、レム睡眠中に脳内で整理され、長期的な記憶として定着しやすくなるという考え方が知られています。
睡眠時間を極端に削ると、深い睡眠だけでなくレム睡眠の量も不足しやすくなり、学習内容の定着に影響する可能性があるといわれています。試験前など特に勉強に力を入れたい時期ほど、睡眠時間を削るのではなく、十分な睡眠サイクルを確保することが結果的に効率的な学習につながると考えられています。
8. 昼寝にもサイクルの考え方は応用できる
昼寝(仮眠)を取る場合も、睡眠サイクルの考え方はある程度参考になります。20分前後の短い仮眠であれば深い睡眠に入る前に起きられるため、寝起きのだるさを感じにくいといわれています。一方で1時間近く眠ってしまうと深いノンレム睡眠の途中で目覚めることになり、かえって強い眠気やだるさを感じやすくなるとされています。昼寝を活用したい場合は、目的に応じて時間を調整することが大切です。
まとめ
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返す睡眠サイクルで進み、1サイクルはおおよそ90分とされています。サイクルの切れ目で起きると目覚めやすいといわれていますが、90分という数値には個人差があり、あくまで目安として捉えることが大切です。生活習慣を整えつつ、昼寝の取り方も工夫しながら、自分に合った就寝・起床のタイミングを探してみましょう。サイクルから逆算した時刻を計算したい方は、必要睡眠時間逆算ツールを使ってみてください。