通勤手当には税金がかからない上限(非課税限度額)があります。 よく見かける「月15万円まで」という数字は電車・バス通勤の話で、 マイカーや自転車で通勤している人にはまったく別のルールが使われます。
車通勤の非課税限度額は片道の通勤距離だけで決まります。 ガソリン代がいくらかかったかは関係ありません。 自分の距離の枠を超えて手当をもらっていると、超えた分は給与として課税されています。
① 片道距離ごとの非課税限度額(1か月あたり)
| 片道の通勤距離 | 非課税になる上限(月) |
|---|---|
| 2km未満 | 全額が課税対象 |
| 2km以上 10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上 15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上 25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上 35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上 45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上 55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上 65km未満 | 38,700円 |
| 65km以上 75km未満 | 45,700円 |
| 75km以上 85km未満 | 52,700円 |
| 85km以上 95km未満 | 59,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 |
自分の距離だといくらまでか、実際のガソリン代がそれを超えていないかは、ガソリン代計算ツール(通勤・帰省)で片道距離と出勤日数を入れると同時に確認できます。
② 2025年に11年ぶりに引き上げられました
この表の金額は令和7年(2025年)11月20日施行の改正で引き上げられたものです。 改正前の金額は2014年から11年間そのままでした。ガソリン価格が上がり続けたことに対応した見直しです。
- •引き上げの対象は片道10km以上。2km以上10km未満の4,200円は変わっていません
- •65km以上の区分が新しく作られました。改正前は「55km以上は一律31,600円」が上限でしたが、いまは95km以上で66,400円まであります
- •適用は令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当にさかのぼります。施行が11月だったため、多くの会社では2025年の年末調整で取りすぎた税金を精算しました
古い情報を載せているサイトも残っているので、「10km以上15km未満=7,100円」「55km以上=31,600円」と書かれていたら改正前の数字です。
③ 「非課税限度額」と「もらえる金額」は別の話
ここを混同しやすいので分けて整理します。
| 何で決まるか | |
|---|---|
| いくら支給されるか | 会社の就業規則・通勤手当規程(法律の決まりはない) |
| いくらまで非課税か | 国が決めた上の表(片道距離だけで決まる) |
- •通勤手当の支給そのものは義務ではありません。出さない会社も違法ではありません
- •支給額が非課税限度額より少ない場合、その手当には税金がかかりません(ただし足りない分は自己負担)
- •支給額が非課税限度額より多い場合、超えた分だけが給与に上乗せされて課税されます。手当が全部ムダになるわけではありません
④ ガソリン代が手当より高くなりがちな距離
実際のガソリン代と非課税枠を比べてみます。燃費15km/L・ガソリン170円/L・月20日出勤(往復)で計算した目安です。
| 片道距離 | 1か月のガソリン代(目安) | 非課税限度額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 5km | 約2,267円 | 4,200円 | 枠のほうが大きい |
| 12km | 約5,440円 | 7,300円 | 枠のほうが大きい |
| 20km | 約9,067円 | 13,500円 | 枠のほうが大きい |
| 30km | 約13,600円 | 19,700円 | 枠のほうが大きい |
| 50km | 約22,667円 | 32,300円 | 枠のほうが大きい |
この条件だと、片道約9.3km以上10km未満(枠の4,200円を超えます)や、2km未満・約147km以上といった極端な距離を除けば非課税枠のほうが大きいので、 ガソリン代の実費相当を手当としてもらう限り、課税される心配はほぼありません。 課税が問題になるのは、実費とは関係なく定額で多めに支給されている場合です。
逆に燃費の悪い車(10km/L以下)や、渋滞・エアコンで実燃費が落ちる条件だと、 ガソリン代が枠に近づきます。自分の車の実燃費は燃費計算ツールで満タン法で測れます。カタログ値より1〜2割悪いのが普通です。 測り方の詳しい手順はガソリン代の正しい計算方法と燃費の測り方にまとめてあります。
⑤ よくある勘違い
- •「片道2km未満は少額だから非課税」ではありません。逆で、2km未満は全額が課税対象です。歩ける距離とみなされるためです
- •往復の距離では判定しません。表は全部「片道」の距離です。往復20kmの人は片道10kmの枠(7,300円)になります
- •高速代・駐車場代は別扱いです。この表はガソリン代など走行にかかる費用を想定した枠で、有料道路の料金には別の考え方があります。会社の規程を確認してください
- •電車通勤とマイカー通勤を併用している場合(駅まで車、そこから電車など)は、それぞれの限度額を合計した額と15万円のいずれか低いほうが上限になります
電車・バスで通勤している方は通勤費計算ツールで定期代を含めた交通費を計算できます。 なお通勤手当は社会保険料(健康保険・厚生年金)の計算では非課税分も含めて対象になります。 税金の話と社会保険の話でルールが違う点に注意してください。 手取りへの影響は手取り計算ツール(会社員)で確認できます。
金額は国税庁の「通勤手当の非課税限度額」(タックスアンサー2585)にもとづく2026年8月時点の内容です。 実際の支給額や課税の扱いは会社の規程によって異なるため、詳しくは勤務先の担当部署にご確認ください。