ShibaHubShibaHub
金融・お金

消費税の免税事業者とは?年間売上1,000万円の仕組みと課税事業者の違い

年間売上1,000万円以下の「免税事業者」の仕組みと、課税事業者との違い・インボイス制度との関係がわかります。

最終更新:2026年9月14日 / 運営:sesebox(運営者情報)

「年間売上が1,000万円を超えると消費税を納めないといけない」という話を聞いたことがあるかもしれません。この記事では、消費税の免税事業者・課税事業者の仕組みと、インボイス制度との関係をわかりやすく解説します。

1. 免税事業者とは

消費税法では、前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は「小規模事業者」として、消費税の申告・納税が免除されます。これが「免税事業者」です。

免税事業者であっても、顧客から「消費税込み」の価格で代金を受け取ること自体は問題ありません。ただし、受け取った消費税分を国に納める義務はなく、手元に残すことができます(これを「益税」と呼びます)。

2. 課税事業者になる基準

基準内容
基準期間の課税売上高前々事業年度の売上が1,000万円超で自動的に課税事業者
特定期間の課税売上高前事業年度上半期(1〜6月)の売上または給与が1,000万円超
新規設立法人資本金が1,000万円以上の場合、設立初年度から課税事業者
任意の課税事業者選択免税事業者でも自ら申請すれば課税事業者になれる

3. インボイス制度との関係

インボイス制度(2023年10月開始)により、適格請求書(インボイス)を発行するためには課税事業者として登録する必要があります。免税事業者のままではインボイスを発行できません。

発注側はインボイスがない取引では仕入税額控除が受けられないため、免税事業者への発注を見直すケースが出てきました。

4. 課税事業者になるメリット・デメリット

メリットデメリット
課税事業者インボイス発行可能・取引先に選ばれやすい消費税の申告・納税義務・経理の手間増加
免税事業者のまま申告・納税不要・手続きが少ないインボイス発行不可・取引先が限られる可能性

5. 2割特例(小規模事業者向け)

インボイス制度を機に課税事業者になった事業者向けに、2割特例という経過措置があります(2023年10月〜2026年9月30日を含む課税期間まで。個人事業者は2026年分の申告が最後です)。この期間は売上の消費税の2割だけを納税すればよく(仕入税額控除の計算が不要)、小規模フリーランスの税負担が軽減されます。

2割特例のあとは、令和8年度税制改正で設けられた「3割特例」があります。インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者が対象で、2027年分・2028年分(令和9年分・令和10年分)の申告で、納付税額を売上税額の3割にできます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどの要件があり、法人は対象外です。

6. 2割特例の計算イメージ

例えば年間売上(税込)が550万円(うち消費税50万円)のフリーランスが2割特例を使う場合、納税額は「受け取った消費税50万円 × 20% = 10万円」になります。通常の原則課税で実際の仕入にかかった消費税を細かく計算する必要がなく、売上の消費税額だけで納税額が決まるため、経理の負担が大幅に軽くなります。

7. 適格請求書発行事業者になる手続き

インボイスを発行するには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して登録を受ける必要があります。登録が完了すると「T+13桁の数字」からなる登録番号が発行され、これを請求書に記載することで適格請求書として認められます。免税事業者がこの登録を行うと、その時点から課税事業者となります。

8. 「益税」という言葉が持つ意味

免税事業者が消費税分を受け取りながら納税しない状態は「益税(えきぜい)」と呼ばれ、制度上は合法な仕組みですが、長年にわたり公平性の観点から議論の対象になってきました。インボイス制度は、この益税を縮小させることも目的の一つとされています。ただし、小規模な免税事業者にとっては、事務負担の少なさが事業を続けるうえで重要な意味を持っていた側面もあり、制度変更による影響をどう緩和するかが、2割特例のような経過措置が設けられた背景にあります。

9. 迷ったときの判断の進め方

インボイス制度は開始から数年が経った今も、経過措置の適用期間や制度の細部について見直しの議論が続いています。一度決めた対応方針も、状況の変化に応じて数年おきに見直す姿勢を持っておくと、自分の事業にとって無理のない選択を保ちやすくなります。

制度を正しく理解し、自分の事業にとって最善の選択をしていきましょう。一人で悩まず、専門家や周りの経営者仲間に相談してみるのもおすすめです。少しずつ理解を深めながら、自分の事業に本当に合った形を、じっくりと時間をかけて確実に見つけ出していきましょう。

まとめ

免税事業者は前々事業年度の課税売上が1,000万円以下の事業者で、消費税の申告・納税が不要です。インボイス制度の導入でインボイスを発行するには課税事業者への登録が必要になりました。取引先がBtoBかBtoCかによって対応が異なるため、自分のビジネス形態に合わせて判断することが重要です。インボイス制度の基本的な仕組みはインボイス制度とは?で解説しています。消費税の計算は消費税計算ツールでどうぞ。

参考にした公的資料

計算結果は一般的な計算方法にもとづく目安であり、個別の状況での税額・金額・健康状態を保証するものではありません。 制度や数値は改正・更新されることがあるため、重要な判断の前には上記の公式情報や専門家(税理士・医師など)でご確認ください。

この記事に関連する計算ツール
あわせて読みたいコラム
コラムをもっと見る計算ツールの背景知識をわかりやすく解説見る