「お酒は適量なら体によい」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。では、その「適量」とは具体的にどのくらいの量を指すのでしょうか。厚生労働省の「健康日本21」では、節度ある適度な飲酒の目安として1日あたり純アルコール約20gが示されています。この記事では、その20gが実際どのくらいの量に相当するかを、お酒の種類ごとに整理します。
1. 純アルコール20gとは?
「純アルコール量」とは、飲んだお酒の中に含まれるアルコール(エタノール)の量をグラム単位で表したものです。同じ「1杯」でもお酒の種類やアルコール度数・容量によって体に入るアルコールの量は大きく異なります。純アルコール量を把握することで、種類が違うお酒どうしを「飲んだ量」として比較しやすくなります。
「ビール1杯」「ワイン1杯」という数え方は、グラスの大きさや度数によって実際に入っているアルコールの量が違うため、「何杯飲んだか」だけでは飲酒量を正確に把握できません。純アルコール量という共通の単位に置き換えることで、初めてお酒の種類をまたいだ比較や、1日・1週間の合計量の管理ができるようになります。
計算式は次のとおりです:純アルコール量(g)= 飲んだ量(mL)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8。最後に掛ける0.8はエタノールの比重(1mLあたり約0.8g)です。アルコール量計算ツールを使うと、入力するだけで自動的に計算できます。
2. 純アルコール20gはお酒何杯分?
純アルコール20gがどのくらいのお酒の量に相当するかを、代表的な種類ごとにまとめました。
| お酒の種類 | アルコール度数 | 量 | 純アルコール量 |
|---|---|---|---|
| ビール(中瓶) | 約5% | 500mL | 約20g |
| 日本酒(1合) | 約15% | 180mL | 約21.6g |
| ワイン(グラス2杯) | 約12% | 200mL | 約19.2g |
| チューハイ(缶350mL) | 約5% | 350mL | 約14g |
| ウイスキー(ダブル1杯) | 約43% | 60mL | 約20.6g |
| 焼酎(0.5合) | 約25% | 90mL | 約18g |
ビール中瓶1本・日本酒1合・ワイングラス2杯が、おおむね「純アルコール20g」に相当する目安です。缶ビール(350mL)や缶チューハイ(350mL・5%)は1本で約14gなので、2本飲むと28gになります。
3. 1日20gの「適量」はあくまでも目安
1日20gという目安は、健康な成人男性を想定した一般的な参考値です。以下のような場合は、より少量でも影響が出やすいとされています。
- •女性:アルコール分解酵素の活性や体内水分量の違いから、男性より少量でも影響を受けやすいとされます。目安は男性の2分の1〜3分の2程度とする見方もあります。
- •高齢者:加齢に伴い肝臓のアルコール代謝能力が低下します。
- •アルコール分解酵素が少ない人:遺伝的にALDH2(アセトアルデヒド分解酵素)の働きが弱い場合、少量でも顔が赤くなったり頭痛が出やすくなります。
- •服薬中の人:一部の薬はアルコールとの相互作用があります。服薬中は医師・薬剤師に確認してください。
4. 週あたりの飲酒量と「休肝日」
1日あたりの量だけでなく、1週間全体で見た純アルコール量も重要です。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(2024年)」では、生活習慣病のリスクが高まる飲酒量として週あたり純アルコール男性540g・女性270g以上が参考値として示されています(1日換算でそれぞれ約77g・約39g)。
また、週に2日以上の「休肝日」を設けることが肝臓を休めるうえで推奨されています。純アルコール量のコントロールにはアルコール計算ツールを活用してください。体への影響については純アルコール量と体への影響を解説した記事も参考にしてください。
5. 空腹時の飲酒を避ける
同じ量のお酒を飲んでも、空腹時は胃から腸への移動が早くなり、アルコールの吸収スピードが上がるため、血中アルコール濃度が急に高くなりやすいとされています。飲み会の最初の1杯を空きっ腹で一気に飲むと、後になって酔いが急に強く回ってくるように感じるのはこのためです。乾杯の前に軽くつまめるものを用意しておく、最初の1杯はゆっくり飲むといった工夫で、急激な酔いを避けやすくなります。
また、油分やたんぱく質を含む食事と一緒に飲むと、アルコールの吸収がゆるやかになるとされています。おつまみを工夫することも、純アルコール量そのものを減らすことと同じくらい、体への負担を和らげるポイントになります。
6. 飲むペースの目安
肝臓が1時間に分解できる純アルコール量は、体格や個人差にもよりますが、おおむね体重1kgあたり0.1g程度が目安とされています。体重60kgの人であれば1時間に約6gが目安で、純アルコール20gを分解するには3時間以上かかる計算になります。分解が追いつかないペースで飲み続けると、体内のアルコール濃度が下がりきらないまま次の1杯を重ねることになり、酔いが積み重なっていきます。
「何をどのくらい飲むか」だけでなく「どのくらいのペースで飲むか」も、体への負担を左右する重要な要素です。水(チェイサー)を挟みながらゆっくり飲む、1杯ごとに少し時間を空けるといった工夫は、純アルコール量そのものを変えなくても、酔いの回り方を穏やかにする効果が期待できます。
まとめ
純アルコール20gはビール中瓶1本・日本酒1合・ワイングラス2杯の目安です。ただしこれは健康な成人男性向けの参考値であり、女性・高齢者・体質によっては差があります。飲む前後で純アルコール量を確認する習慣をつけることが、節度ある飲酒につながります。